今回もフットボール批評の「現代サッカーの教科書2」からドイツサッカーの中心『BoS理論』についてまとめていきます!
前回の「現代サッカーの教科書1」では、
ということをまとめました。
まだお読みでない方はこちらの記事もぜひご覧ください。
BoS理論とは何か
言葉の意味
BoS理論。聞きなれない言葉ですよね。
もともとはDas Ballorientierte Spielという言葉で、直訳すると「ボール指向のゲーム」となります。
まだわかりませんね。
現代サッカーの教科書2では、「ボールにオリエンテーション(方向付け)するプレー」と書いてあります。
この2つの日本語訳を見て、
私は「ボールに向かってアクションするプレー」と理解しました。
基本的な考え方
BoS理論の基本的な考え方は次の2つです。
- ボールを中心に考えて動くこと
- ゴールを決めること
大切なのは試合を通してこの2点を貫くことだと思うのですが、なかなか難しいのではないかと感じました。
サッカーは常に自分達がボールを保持している状態と相手が保持している(自分達が非保持)状態にあります。
一般的に
ボール保持時⇨攻撃⇨ゴールを決めること
ボール非保持時⇨守備⇨ゴールを守ること
と考えてしまいがちです。
しかし、ドイツでは常にボールを中心にしてゴールを決めることを考えています。つまり
ボール保持時⇨攻撃⇨ゴールを決めること
ボール非保持時⇨相手からボールを奪う⇨奪い切ってゴールにつなげる
となります。
このことを「チームの常時攻撃態勢」と言います。
ボールを持っていないときは「守備(ゴールを守る)」ではなく「ボールを奪う(ゴールにつなげる)」ことを目的にプレーするってことですね!
これらをまとめると
BoS理論は、ボール保持・非保持に関わらず、ゴールを決めるためにボールに対してどう動けば良いかをまとめたもの
ということになります。
※ボール保持時は通常の攻撃になるため、BoS理論は主にボール非保持時にどうプレーするかが中心になっています。
ゴールを決める意識がないから、せっかくボールを奪っても素早い攻撃につなげられないんだね。
BoS理論の土台
常時攻撃態勢を行うためのポイントは4つあります。
- ボールを中心にプレーすること
- 11人全員でプレーすること
- チームの陣形を整え、コンパクトにプレーすること
- 近くの味方にコーチングをすること
この土台がドイツサッカーを作り上げています。
BoS理論を維持・実行するためのコーチングには様々な「コマンドー(指示・指令)」というものがあるのですが、数が多いので別の機会に触れたいと思います。
BoS理論から生まれたドイツの様々なプレースタイル
ところで、皆さんはドイツのナショナルチームやブンデスリーガのチームにどのような印象をお持ちですか?
これらはすべて「チームの常時攻撃態勢」の考えから生まれたものです。
ゲーゲンプレス
BoS理論は11人のプレイヤー全てが連動して動くことによって機能します。
1人2人が個人的にプレスをかけただけでは、その場をかわされた時に逆に大ピンチになりかねません。
すぐにボールを奪いゴールを決めること・全員でボールを取りに行くこと
この2つを両立するために生まれたのが、相手がボールを持った直後に相手に襲い掛かるゲーゲンプレスです。
クロップ監督がドルトムントやリバプールを指揮することでゲーゲンプレスは多くの人が知るようになりましたね。
ゲーゲンプレス(即時奪回)には、長距離をダッシュで帰陣するよりも近くの相手に短時間でプレスをかけるため体力的に有利な面もあり、理にかなっていますね。
ゴールキーパー
歴史的にも名キーパーの多いドイツ。
ドイツ代表ではマヌエル・ノイアー、テア・シュテーゲン、ベルント・レノなど。
ブンデスリーガでは、ヤン・ゾマー、ロマン・ビュルキ、ペテル・グラシなど。
キーパーが優秀だと試合が締まって面白さが増しますよね。スーパーゴールも良いけどスーパーセーブもかっこいい!
今回はノイアーを中心に考えます。
ノイアーの特徴といえば
- ペナルティエリアの外まで守る幅広いプレーエリア
- 正確なキック
- ビッグセーブを連発する身体能力
- 的確なポジションを取るための判断力やスピード
ですよね。
なぜノイアーがこのようなプレースタイルになったのかはBoS理論理論が大きく関係しています。
キーパーは今まで「ゴールを守ればOK」というポジションでした。
しかし、BoS理論では、11人の選手全てがどちらの局面(ボール保持・非保持)でもボールに関わらなければなりません。
11人が連動したコンパクトさを保った状態で相手陣内にボールが進めば、当然ディフェンスラインも上がり、その裏には大きなスペースが生まれてしまいます。
そのスペースをカバーするのはキーパーの役割です。
このようにしてエリアの外で広い範囲をカバーするスイパーキーパーが誕生するのです。
ちなみに、ドイツのヴュンテンベルグ州サッカー協会では、ゴールキーパーのことを「Torspieler」と呼ぶようなのですが、これは「ゴール(Tor)」と「プレイヤー(spieler)」を合わせてできた言葉らしいです。
キーパーにもフィールドプレイヤーと同じ能力が必要なことがよくわかりますね。
まとめ
いかがだったでしょうか。
この本の中では、日本のチームでも即時奪回は意識されるようになっているが、その先のゴールへの意識はまだ足りないという内容も書かれていました。
これからはボールを持っていない場面を「ゴールを守る・失点しない」ではなく、「ボールを奪う・ゴールをする」場面として試合を見ると面白いと思います。
最後までお読みくださりありがとうございました。
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