マルチクラブオーナーシップとは
皆さんはサッカーはご覧になりますか?
私は2010年の南アフリカワールドカップの前後からサッカーをよくみるようになりました。
きっかけは当時我が家に来たPS2でウイニングイレブンというサッカーゲームを始めたことです。
それ以来、ゲームもサッカー観戦も続けています。
サッカーに限ったことではないかもしれませんが、スポーツは知れば知るほど奥が深く面白いもので、情報を集めていくと今までの試合観戦では気がつけなかったことが段々とわかるようになりより試合を楽しむことができます。
今回はフットボリスタという雑誌で特集されていた「派閥化するフットボールの世界」からマルチクラブオーナーシップについてお話ししようと思います!
こんな人に読んで欲しい!
- サッカーに関する情報・知識がほしい人
- もっと楽しくサッカー観戦がしたい人
- フットボリスタを知っているけど読んだことがない人
この記事でわかること
- マルチクラブオーナーシップ(MCO)とは何か
- MCOの3タイプ
- どんなメリット・デメリットがあるのか
- MCOが日本のサッカーに与える影響
MCOとは何か
近年、マルチクラブオーナーシップ(MCO)というものが急速に増えているそうです。
マルチクラブオーナーシップは、1つのオーナーや資本が国籍の異なる複数のクラブを保有する運営形態を言います。
シティ・フットボールグループやレッドブル・グループに代表される1つのオーナー、あるいは資本が国籍の異なる複数クラブを保有する運営形態である。
「派閥化」するフットボールの世界
シティ・フットボールグルーはマンチェスターシティを頂点としたグループで、すでに10年ほど前から準備を始めていたようです。
今では世界中の国と地域に10個のチームを保有しています。
日本のJ1に所属する横浜・F・マリノスもその1つです。
レッドブルグループは、現在5つのクラブと提携を結んでいます。
日本代表でも活躍している南野拓実選手がレッドブル・ザルツブルク(オーストリア1部)に所属していたときに関わっていました。
そこで得た経験や残した結果によって2020年冬にリバプール(イングランド1部)にステップアップしました。
MCOには3つのタイプとメリット・デメリットがあります。詳しく見ていきます。
3つのタイプ
MCOは主にグローバルフランチャイズ型、アメリカンスポーツビジネス型、プレイヤートレーディング型の3種類があります。
グローバルフランチャイズ型
世界中のクラブを保有することで、グループの勢力や価値を向上させることが目的の形です。
豊富な資金とネットワークを活用し、世界中の様々な情報にアクセスできることが強みです。
選手の発掘・育成モデルや戦術がグループ内で統一されているため、常に同じコンセプトの中でプレーしいくことができます。
グループ形成に時間とコストがかかるため、特に難易度が高いそうです。
シティフットボールグループ
レッドブル・グループ など
アメリカンスポーツビジネス型
北米の資本が欧州サッカーの人気やメジャーリーグサッカー(MLS)の成長性などに期待して、ビジネスとしてクラブを保有するものです。
目的は中・長期的に安定して収益を上げることで、投資的な意味合いが強いです。
ヨーロッパの選手がMLSのチームに移籍することでMLSの発展にも繋げたいようですが、現状ではなかなか難しいようです。
マンチェスターユナイテッド
リバプール アーセナル など
ヨーロッパの第一線で活躍していた選手がMLSに移籍することがありますがこういったことも関係するのでしょうか。
つながりがあるかは不確かですが、近年では2018年にマンチェスターユナイテッドのイブラヒモビッチ選手がロサンゼルス・ギャラクシーに移籍しました。
プレイヤートレーディング型
最も数の多い形態です。
主に個人オーナーや投資ファンドがヨーロッパ内に複数のクラブを保有しています。
目的は選手の売買で利益を上げることです。
そのため選手の発掘・育成・売却に最適化したビジネスシステムを形成しています。
中堅クラブとビッグクラブを保有することで、下位リーグを選手育成の場として活用しています。
ブライトン⇄ユニオン・サン・ジロワーズ
オリンピアコス⇄ノッティンガム・フォレスト
ウディネーゼ⇄ワトフォード
メリット・デメリット
では、MCOのメリットとデメリットは何なのでしょうか。
メリット
MCOのメリットは、選手が適切なプレー環境でプレーできることにあります。
これまでは香川真司選手のドルトムント移籍や内田篤人選手のシャルケ移籍など海外1部リーグへ直接移籍する場合が多かったです。そこで定位置を獲得できれば本人にとっても日本サッカーにとっても喜ばしいことです。
しかし、成功したの裏に選手の裏に多くの失敗例があります。初めての海外生活によりなかなかチームにフィットできず存在感を薄めてしまいます。
近年ではオランダやベルギー、オーストリアのクラブで経験を積み、着実にステップアップしている選手が多くなりました。
日本代表DFの冨安健洋選手はベルギー⇨イタリアと経験を重ね、2021年夏にイングランドのアーセナルに移籍しました。
加入直後から驚異的なスタッツを残し、チームの浮上に貢献しています。
他にもオーストリアで経験を積み、リバプールへと移籍した南野拓実選手やベルギーからドイツに渡った遠藤航選手などが挙げられます。
クラブ側としても今後大きく成長するかもしれない若手選手を低リスクで獲得できることはメリットです。
デメリット
デメリットは3点あります。
まず、先に書いた恩恵を得るために時間とお金がかかることが1番のデメリットです。
すでに成功してるクラブは必要のないことですし、これから強くなりたいチームにはお金と時間がありません。
変化の激しいフットボールの世界で長期的な戦略に基づいて計画を進めていかなければなりませんし、途中でやめてしまっては、それまでの労力が無駄になってしまいます。
また、毎試合結果が求められるサッカーにおいては短期的にも結果(勝利)を出さなければなりません。
数年後には強くなるから今は負けていても我慢してくださいとはサポーターに言えませんし、強くなる前に人気がなくなってしまう可能性もあります。
最後にサッカークラブは独自のアイデンティティや地域性を持っているものです。それがチームの魅力となるわけですが、MCOのメリットである統一性はそれとは相反するものです。
このようなデメリットの乗り越えてチームやグループを強化してくことは簡単ではありませんね。
日本サッカーに与える影響
MCOは日本のサッカーにどのような影響を与えているのでしょうか。
クラブチームへの影響
今回の特集で取り上げられているのは横浜F・マリノスです。
2014年にマリノスはシティ・フットボールグループ(CFG)と提携を結びました。これによりCFGのもつ世界中でのスカウト情報を得ることができ、強化に活かしています。
前監督のポステゴグルー監督(現・セルティック)やチアゴ・マルティンス選手はこのような形でマリノスにやってきました。
戦力の充実・活躍により、リーグでは2019年に優勝、2021年に2位に入るなど着実にチーム力を上げている印象です。
また、マリノスからはアジアの選手についての情報を提供しています。
これによりマンチェスターシティへ板倉滉選手(元川崎フロンターレ)や食野亮太郎選手(前ガンバ大阪)が移籍しました。
マリノスだけでなく、日本人選手の海外進出にも大きく影響しています。
2019年夏にはマンチェスターシティとマリノスの試合が日本で開催されました。結果は3−1でマリノスの敗戦でしたが、シティ相手に臆することなく攻めていくマリノスは見ていてワクワクするチームでした。
選手個人への影響
近年では日本代表に所属する選手の多くが海外クラブチームに所属するようになるなど、海外でプレーする日本人選手が増えています。
日本人選手の技術レベルが高いことと獲得するには少額の移籍金で済むことによりヨーロッパのクラブからも注目されているようです。
選手個々で見ると、川崎フロンターレからイングランド1部のブライトンに移籍した三苫薫選手がとても良い例です。
三苫選手は大学卒業後のJリーグ1年目から2桁のゴールとアシストを記録するなど驚異的な活躍を見せていたので海外移籍は誰もが納得するところでしょう。
しかし、三苫選手はプレミアリーグのブライトン(イングランド1部)への移籍が発表されるのと同時にベルギー1部のユニオン・サン・ジロワーズへのレンタル移籍も発表されました。この2チームのオーナーが同じなのです。
これは三苫選手がまだ日本のA代表に選出されたことがなくイングランドでの労働許可が降りないことが原因でしたが、レンタル移籍することによりブライトンとしては早いうちから有望な選手を獲得し自チームの管理下におくことができます。
また三苫選手自身もプレー機会を失うことなく海外のクラブに挑戦することができました。
三苫選手は初めての海外移籍ですし、プレー強度の高いプレミアリーグで戦うよりも1段階下がるベルギーリーグで海外での生活やプレーに慣れることはメリットが大きいと思います。
その後、三苫選手はA代表デビューも飾りましたので、順調にいけばプレミアリーグでプレーする姿も見られるはずです。楽しみですね!
まとめ
いかがだったでしょうか。
海外のことだから日本には関係ないと思いきや、案外身近なところに影響がでていましたね。
MCOによって日本人選手の活躍が世界中でもっと見られるようになってほしいですね!
最後までお読みくださりありがとうございました!
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